ご存知の方は今更だと思いますが、アマプラでたまたま見つけてアニメを見たんです。『からくりサーカス』。正直思っていた10倍くらい面白かったので、どのへんが面白いのかさらっと書いていきたいと思います。あと残念ポイントも。
kenken726:もしもまだ未見・未読の方がいるならリモートワーク、外出自粛等々で時間のあるうちにどうでしょう。一部ネタバレを含みますのでそのつもりで。
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0.そもそも『からくりサーカス』って?
『からくりサーカス』は、藤田和日郎による日本の漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)にて1997年32号から2006年26号にかけて連載された。単行本は全43巻。仏名は『Le Cirque de Karakuri』。
-Wikipediaより
今から23年前に連載開始の漫画ですね。既に完結済みなので まとめ買いも可能。アニメから入った組なので十分楽しめていますが、原作と比べると…という意見をネットで多々見るので原作ほしいですね。。。
ちなみにアニメ化決定の時点での累計発行部数は1500万部。昨今の鬼滅やワンピースが桁違いなので、そこまで大きな数字に見えないかもしれませんが、十分に金字塔といえる数字です。
小学5年生の才賀勝(さいがまさる)は父親の事故死によって
莫大な遺産を相続したことをきっかけに命を狙われていた。
そんな折、青年 加藤鳴海(かとうなるみ)は偶然にも勝と出会い、
手を差し伸べることを決意する。しかし、勝を追ってきたのは人間ではなく
高い戦闘能力を持つ人形使い達であった。
窮地に陥った二人は突如姿を現した
懸糸傀儡(マリオネット)を操る銀髪の少女しろがねに助けられる。こうして、日本で出会ったこの3人は
数奇な運命の歯車に巻き込まれていく──-公式HPより
あらすじは上記の通りなんですが、これだけ見てもよくわからんですよね。まず大きな特徴は通常のバトルマンガのように特殊能力や兵器、武器を使う代わりに懸糸傀儡(マリオネット)を使うという点。これは後々わかってくるのですが、とても深い意味があります。そしてもうひとつ特徴として、様々な設定や要素が絡みあう複雑かつ緻密なストーリーだという点があります。この点については追って紹介を。
1.『からくりサーカス』の魅力は?
いくつかある『からくりサーカス』の魅力を分解して紹介していきたいと思います。
1-1.SF寄りの設定や要素が複雑かつ緻密に絡み合うストーリー
あらすじの部分でも触れましたが、まずはこれ。“しろがね”と呼ばれる超人的な身体能力/回復能力を有し、5年に1度しか歳を重ねない亜人種がいたり、人間を模したオートマタと呼ばれる人造人形が自分で意思を持って人間を虐殺していたりとSF好きな人は好物な設定がいくつもあります。オートマタの体に流れる擬似体液(人間で言うところの血液)は修行を積んだ人間が“気”を込めた打撃を加えると急激に沸騰し自壊するなど、細やかな設定が散りばめられており、様々な角度で納得しながら物語に入り込んでいくことができます。
1-2.常に物語の中心にある「人間的な“あったかさ”や“笑顔”」
上記で触れたSF的な要素をこれでもかと詰め込んでいるにも関わらず、対象的なテーマである「人間的な“あったかさ”や“笑顔”」を同時に扱っている面白さもあります。主人公格の鳴海が中でも熱いキャラクターとして描かれていますが、彼と過ごす中でその言葉に、生き様に影響を受けた勝、エレオノールもより人間的な“熱さ”を持つ魅力的なキャラクターへと変貌を遂げるのも見どころです。この「人間的な“あったかさ”や“笑顔”」というテーマは人間と亜人種である“しろがね”、人造人形、そして私達視聴者、読者に「人間とはなにか」「愛とはなにか」というような深い問いを投げかけてきます。人間はより人間らしく、人形も人間らしくあろうとするシーンが随所に登場し、そしてそれがどんなに尊く、難しいことであるのかを『からくりサーカス』は見事に描いている作品です。
1-3.悪役が全編通してひとり
これはややネタバレにもなるのですが、『からくりサーカス』では最初から最後まで悪役がひとりです。もっと言えば親玉がひとりと言ったところでしょうか。漫画ではしばしば最強として描かれている敵が倒され、より強い敵が現れます。(ドラゴンボールしかり、ハンターハンターしかり)ですが『からくりサーカス』ではそうはいかず、過去から現在に至るまで終始あるキャラクターが悪役の親玉として君臨し続けます。厳密には物語の後半になってそのキャラクターが親玉であったことが明らかになるイメージです。それだけ、このキャラクターは狡猾で、才覚に溢れ、たったひとつのある目的のためだけに悪事を働き続けます。それ自体が悪いとも感じることなく。また、その目的は誰もが抱く可能性のある一種の“嫉妬”と“愛情”であるため、どこか哀愁を感じてしまうことも。
一貫した目的が悪役にあると魅力的に映りますよね。
1-4.懸糸傀儡(マリオネット)が個性的
“しろがね”と呼ばれる人形使いたちが戦闘の際に使う懸糸傀儡(マリオネット)ですが、こいつらが個性的なのも魅力のひとつ。姿かたちも一体一体違いますし、なにより得意とする戦い方や能力/機能もそれぞれです。いわゆる相性のようなものもあり、必ずしも人形使いの技量や相手の強さだけが勝敗を決するわけではないのもポイント。懸糸傀儡(マリオネット)の大きさや特徴によって操る際に腕力が必要だったり、片手でも操れるものがあったりと本当に細かく設定され描かれています。
2. 『からくりサーカス』の残念ポイントは?
続いて、いくつかあるアニメ版『からくりサーカス』の残念ポイントを紹介していきたいと思います。
2-1.話をカットしすぎ
冒頭で紹介しましたが単行本は全43巻。対してアニメは全36話。一般的に1クール12話とされるとはいえ、単行本1巻分をアニメ1話にすらしていないのはちょっと残念です。私自身は原作を読破していないので、wikiや考察記事などを読み漁ってストーリーを補完しましたが、そのにわか具合でも「ここの話ないのか」とわかるほどでした。
2-2.オートマタ、エレオノールが結構笑う
これ。未見の方からすれば「アニメのキャラクターが笑ってなにが悪いの?」と思うかもしれませんが、『からくりサーカス』の物語上、感情がないとされているオートマタ(人形)や人形のように、人形になれ、と育てられたエレオノールが“笑う”ことは大きな意味を持ちます。そのため、原作では終盤、それも本当に最後の最後まで笑顔や笑うシーンは描かれませんし、それまでは匂わせにとどめています。対してアニメ版でははっきりとした笑顔でなくとも、口元が緩んだり、はにかんだりするシーンがしばしばあり、原作では感動だったクライマックスでのシーンがやや霞んでしまったような印象でした。ここはちょっと残念。
3.まとめ
今回はアニメ版『からくりサーカス』について書いてみました。
正直なことをいえば、現代において目新しいものは登場しません。ですが、いつの時代でも大切とされるものや重要なものは変わらないもの。そんな普遍的な面白さ、テーマが『からくりサーカス』には描かれています。
私個人は映画でもアニメでも漫画でもあまり感情移入するタイプではなく、いち観客として楽しむタイプなのですが、それでもこの作品には凄まじい没入感を覚えましたし、「最後までみてよかったな。面白かったな」とはっきり感じました。
もっと早く出会いたかったとさえ思う、傑作といえます。
オレは「私のようになりたまえ」って説教している漫画ってあまり好きではないんですよね。
それよりも、自分の中の「あんな風になりたい!」っていう憧れを読者に伝えたいって気持ちが強くて、だから「鳴海(なるみ)のような男になりたいんだよな」とか、「あんな風に生きたいんだよな」とか、それを伝えるために描いているのが漫画家としてちょうど良いスタンスじゃないかと思ってるんですよ。
だから、「お前の言う通りアレはカッコ良いよね」って読者から言ってもらったら、それが凄く嬉しいんだよね!-BookLive特別インタビューより原作者、藤田和日郎氏
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kenken726:どの時代にも心に残る傑作漫画ってのはあるんですね。