鉄の箱のなかで

 

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新型コロナウイルスの諸々で外出自粛が続いている。

そんな中でも口と鼻を覆い、手を洗い、喉をいくらかの水で洗い流すことを徹底し、毎日鉄の箱に揺られ出勤している。

部署内の異動に伴って通勤路が変わったのだが、はや2ヶ月が経とうとしているわけで。

電車通勤あるあるとして同じ時間に、同じ電車の車両に、同じ席にいる乗客を目にする。

 

ああ彼も私と同じように今日も電車に揺られ出勤している。

 

妙な親近感と安心感のようなものを抱く私がそこにはいる。

人間の脳は上手くできていて見たくないものや考えたくないものを、敢えて判断材料の中から省いたり、「わたしだけは大丈夫だろう」と思い込むようになっているらしい。

いわゆるバイアスというやつだ。ぶち上げる方のバイブスではない。

昨今起きている未曾有の災害続きでこのあたりの危機意識が高まってはいるものの、対岸の火事感が抜けないのはこのためというわけ。

そして同じ電車の彼に抱く親近感と安心感はきっとこのあたりから来るものであることも私は知っている。

 

本当はなにも大丈夫ではないということも。

 

電車を乗り換え向かいに座る彼女も、4つ隣の席でスポーツ新聞を読む御老体に対しても似た感情を抱く。

彼女たちも日々私と同じように思っているのだろうか。

はたまた只言われるがまま会社に足を向けているのだろうか。

それらは知るよしもない。

それでも鉄の箱は今日も私達を乗せて走り続ける。

 

kenken726:個人メディアの良さはこういう文章を垂れ流せること……