友人の助けを借りて人生初のライブビューイングに行ってまいりました。
しかもナックスの千秋楽。いやあ実に良い経験。
普段からよく映画館には行きますが、映画のようにカットやカメラワークなど突き詰めて作り上げているものとは少し毛色が違い、”生”を感じることができました。
観終わったあと所見を話していた時に出た内容ですが、
- 生で舞台を観ているときは定点から全体が見える
- ライブビューイングやDVDでは、個人が抜かれることが多く、”見せ場”が分かりやすい
というのをとても感じました。
こっから大泉さんの見せ場だよ!
的な。言ってしまえば映画や映像作品では当たり前なんですけどね。そういうわけで、初めてのライブビューイング、楽しめました。ありがとう、たっちゃん。
ちなみにライブビューイングについても少し調べたんですが、今回配給していたのは「ライブ・ビューイング・ジャパン」という会社のよう。検索しても一番上にでるので、もしかして日本での第一人者的な立ち位置なのかな?
なお「ライブビューイングとは」というページもあったので、キャプチャを。
なるほどなるほど。やるやん。ライブビューイングジャパンさん…。
価格も直接舞台を見に行くよりは格安ですし、なにより近くの大画面で思いっきり作品を楽しめるのはかなり好感。今後も気になる作品があれば利用したいと思いました。
さて、肝心の感想をつらつら。以下感じたことを簡単に。
まずは簡単に設定等々を。
1945年8月15日。
この日、日本は無条件降伏を受け入れた。しかしその後。
突如としてソ連軍の大部隊が、
武装解除した孤島に攻め入ってきた!気持ちをもう一度奮い立たせ、再び銃を持つ兵士たち。
彼らが立ち上がらなければ、北海道は二分されていたかも知れない。日本最後の戦いの司令部があった「幌筵島」。
私たちはまだ、その島の名前さえ知らない。
TEAM NACS 第16回公演 「PARAMUSHIR〜信じ続けた士魂の旗を掲げて」
原案・演出:森崎博之
脚本:林 民夫
出演:TEAM NACS
森崎博之 安田顕 戸次重幸 大泉洋 音尾琢真小此木まり 荒居清香 伊藤駿九郎 梅田喬 黒岩司 佐藤亮太 津田幹土 新田健太
原田新平 廣瀬真平 古川ヒロシ 松尾英太郎 三木秀甫 森下ひさえ 山中雄輔
まずタイトルの「PARAMUSHIR」ですが「ぱらむしる」と読むようです。舞台を鑑賞された方は勿論ご存知だと思いますが、この島のことです。
つまり物語の中で戦場となっていたあの島がタイトルとなっていたのですね。
タイトルにまず触れたのは、「この読み方をどれだけの方が知っていたのか」が気になったから。ちなみに私は知りませんでした。読み方を知らないのと同じように、この島のことも知りませんでした。そしてこの島で何があったのかも。
物語の中でも一通りは語られましたが、こちらのブログでわかりやすく解説してくださっているのでご紹介。
森崎さんが数年前にたまたま見つけたこの島の物語から着想を得て、構想を膨らましたそうですが、ナックスがこの島を原案として取り上げることで、確実に舞台を観た人は興味を持つ。それが何になるわけでも無いですが、日本の為に戦い続けていた彼らのことを知るだけでも良いのかもしれません。
こうした原案の作品はこれまでなかったので、純粋に新鮮でした。ただOPでの爆音は安定のリーダー演出。かっこよかった。
しかもこの曲、そして音楽監督を担当されていたのは、元ポルノグラフィティのサポートメンバーでバンドマスターも担当していたヴァイオリニストのNAOTOさん。個人的にポルノ側で知っていたので、意外な発見でした。(アミューズ繋がり?と思ったらエピック・レコードでした。ナックスの舞台音楽を手掛け始めたのは2005年頃からのようです。)
さて中身ですが、原案が戦争に絡むものということで、重たい空気と銃声の中 、物語は進みました。冒頭、ナックス5人の戦闘シーンから始まりますが、一段落すると時間は3日前に遡り、どのような経緯があってこの場所での戦闘になったのか、を丁寧過ぎるくらいに描いていきます。それぞれのキャラクターが抱える過去、一度終戦を告げられて狼狽する者、家族の元に帰ることができることを喜ぶ者、死に場所を探して戦い続けようとする者。アメリカとの戦争が日本の無条件降伏で終戦を迎えたことをきっかけに、攻め込んでくるソ連との戦闘が始まり、再び幌筵島は戦場へと姿を変えます。
途中、産まれを語り合ったり、家族のこと/好きだったもののことを話す中で、お互いのことを少しずつ知っていく5人。前にどこかで聞いた受け売りですが、戦争当時、戦士達は意外にも家族の為に戦うというよりも、戦場で横にいる同志のために戦う気持ちが強かったのだとか。他に話題がなかっただけ、といわれればそれまでですが、相手を知ることで、その相手と共に戦おう、と勇気が湧き上がって来ていたのかもしれません。
中でも特筆すべきは、安田さんの怪演でしょう。日頃から何をするかわからない雰囲気は纏っていますが。笑
過去に、より過酷な戦場で多くの同志を失い、その遺体を埋めることする叶わなかった彼は、東京大空襲で妻と娘2人を失ったあと、遂に精神を病みます。そんな彼が島で働く女性工場員の歌、そして夢を聞き、心を取り戻す様は、些か簡単すぎる気もしますが、すべてを失った彼にとっては十分過ぎる理由となり得たのだと思います。生きるための。そして最後にはそれこそが幌筵島での戦闘の最後の活力となったのでした。また、かの戦闘を唯一生き残ったのが、彼だったのも運命の残酷さを感じます。何しろ、彼にとって「生きること=地獄」だったのですから。そんな彼が、亡き戦友達に向けて独白するラストシーン、そしてその戦友たちの子どもとの交流も鉄板の展開とは言え、胸を打つものがありました。もしかすると、幌筵島でたまたま出会った彼らとの会話、戦闘、過ごした時間、その全てが生きる理由、活力となり、一生涯、長く続く地獄を歩き続けることができたのかもしれません。
何かを得る、考えるような作品ではなかったかもしれません
が、確かに観終わったあと、心に残るものがあった
戦争の歴史、幌筵島での事実
そこで描かれた様子は、どこかナックスの5人がたまたま出会い、たまたま現在まで活動し続けている姿とも重なる瞬間があったようにも思います
心からの賞賛を
…本当です 笑
kenken726は…
(日曜の午後にひょこっと観るには少々重すぎたかも。ただ観れて良かった。)