【野心が止まらない、けど思ったよりもふざけない】帝一の國 感想 考察

 

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©2017 東宝

0.先日見てきたので

帝一の國』雑多に感想とかを。※鑑賞後、そのままのテンションで書いております。

 

ネタバレあるので、未見の方はここでブラウザバックを願います。

 

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1.笑えたポイント 

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©2017 東宝

 

弾が一般入試で入学してきたことを知り、帝一がその試験問題を手にいれ、非公式に勝負を挑むシーン。採点を担当した帝一の父、譲介とのやりとりは映画全体でみても最も笑え、かつシュールなシーン。弾の点数と自分の点数を比べ、一喜一憂する姿は必見。帝一の動きはコミカルだし、譲介はやたらと声がでかくてミュージカル調。(褒めてます)

そのほか作中ではキャラクター同士の掛け合いが基本的にすべて面白い。注目若手俳優が多いにも関わらず、突き抜けた変顔を続くのも注目ポイント。

 

 

2.それぞれのキャラクターを表す描写 

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©2010 古屋兎丸

帝一

真っ直ぐな熱血漢を演じながら強かな野心を燃やす

菊馬

汚い手であろうと手段を選ばず生徒会長を目指している、根幹には父親への憎しみもあるのかも

すべてを公平かつ的確に判断し、自分の思う正義を通す、周りからの人望も厚い

ローランド

恐怖や金ですべてを支配しようとする、支配という点では圧倒的な才を見せる

億人

自らは最小限しか動かず、将棋の如き戦略で他を圧倒する

 

このようなキャラクターが学校生活の生徒総会や文化祭などといったイベントを通して、描かれる。

それぞれがそれぞれの願いや野望の為に、生徒会長の座を目指すわけだが、本人たちの企みとは裏腹に、二転三転する校内世論に翻弄される姿も見もの。

 

 

3.全体の感想/考察 

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©2017 東宝

 

「政治とは流血を伴わぬ戦争である」この一言から映画『帝一の國』作品は始まる。最終的にこのシーンが帝一の政見放送であることが明かされ、帝一が次期生徒会長候補に選ばれていることが分かる。

あらゆる手を尽くして(意外と正々堂々だが)海帝高校生徒会長を目指し、ゆくゆくは日本国内閣総理大臣を目指している、という設定なわけだが、その目的はCMや作品のなかでも本人公言している「自分の國を作るため」なのは言うまでもないが、「國を作って何をするのか、何をしたいのか」ここに関して美美子との会話の中で言葉に詰まる帝一が描かれている。

 

だが、父、譲介が収賄の容疑で逮捕された際に、面会で「自分の國を作れば誰にも邪魔をされずに大好きなピアノが弾ける」という本心を吐露している。つまり、このシーンが意味するのは冒頭、ピアノに頭を打ち付け「スイッチが入った」と描かれていたシーンはあくまで演出で、頭を打ち付ける前から帝一の願いは「ただ大好きなピアノが弾きたいだけ」だったことがわかる。宣伝の仕方や話の持っていき方からして、そこが本当の願いだとは想像もしていなかっただけに、良い意味で裏切られた感覚だった。

 

また、この「ただ大好きなピアノが弾きたいだけ」は美美子にも伏せる程、心の底からの願いなのだろう。誰にも知られず、誰にも頼らず、自分の手で願いを叶える、成し遂げるという強い思いが見え隠れする。

だが一方で、ピアノに関して「誰にも邪魔をされず」というような考えを小学生ながらに持っていた帝一は、その頃から周囲の干渉を疎ましく感じていたであろうことが推察され、その証拠のひとつとして、帝一が最も好んで弾いていたとされる「Marionette(Piano)=マリオネット=操り人形」が挙げられる。

 

総理大臣になる/ならないの話が出る前からこの曲を好んで弾いていたことから考えられるのは以下、3つだろう。

  1. 生まれながらに他を操り、のしあがりたいという野心家だった
  2. 父親の操り人形でしかない自分に対する感情から
  3. たまたま

冒頭でピアノを演奏するシーンは小学校4年生の設定だが、当時から成績も優秀だったこともあるため、③の「たまたま」は考えづらいのが正直なところだろう。

 

①もなくはないが、終盤の面会シーンで帝一自身が語っていたように、「ただ大好きなピアノが弾きたいだけ」なのが本心とするならば、抑圧された感情からの選曲だったのではないかと思う。(なお、小学生当時から神童に近いような少年だったことを考えれば、曲名の意味を理解した上で、好んで弾いていたことも考えられなくはないが。私個人としては映画のみ鑑賞しているため、ここは深掘りしないでおこうと思う。)

そしてその矛先が他人に向くことなく、「自分の國を作ること」で自らの願望を叶えようとするところに帝一が持つ、元々の人間性が垣間見える。

 

4.まとめ

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©2017 東宝

今回は映画『帝一の國』について書いてみた。単調な物語ではあるが、視聴者に考える隙を与えてくれている傑作だった。コメディに分類されるような宣伝の打ち方だったが、実際に鑑賞したあと、あれこれと考えてしまったことからもこの作品が私含め、視聴者を良い意味で裏切り、楽しませてくれたのだろう、と感じた。また、出演者が皆、容姿端麗であることもプラスに働いているのは言うまでもない。

 

 

 

kenken726は…

(傑作でした。)

 

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