さて公開から約2週間たちましたが、前作での感動をまた味わえたら、と淡い期待を抱きながら劇場へ。
以下、見ながら感じたことを簡単に。既に多くの専門家(パシリムマニアの方々)がレビューを投稿されているので、本当に簡単に。
※ネタバレあります。
1.強まったロボット感
皆さんご存知、イェーガーを縦横無尽に戦わせることが魅力の殆どを占める本シリーズなわけですが、アップライジングに関しては、イェーガーの無骨さというか、重量感というか、あの”デカくていかつい感じ”が薄れてしまっていることをまず感じました。良く言えばスタイリッシュになった、といったところ。やはり続編を作るというコンセプト上仕方のないことだったのかもしれません。
2.戦闘シーンの迫力
前作では特に感じられた”肉弾戦感”(言葉が適切ではないかも)がなくなってしまったことも感じざるを得ませんでした。そもそも前作で怪獣との戦争が終結し、異世界との割れ目も閉じられているため、怪獣自体が姿を現さない。そのため、イェーガーvs怪獣という前作では当たり前の構図が物珍しいものとなっていたこともその要因と言えます。その迫力を埋める為ではまりませんが、今作で新たにイェーガーvsイェーガーという戦闘シーンが取り入れられたことで、かのトランスフォーマーシリーズ、エヴァシリーズ感が入り込んできていたことも「うーん」ポイント。うーむ、続編の宿命なのか。
3.無人イェーガーの脅威
本作ではシャオ産業という中国企業がイェーガーの無人化に取り組んでおり、その開発の中枢には前作で怪獣とのドリフトをキメていたニュートがいます。彼の息のかかった大量の無人イェーガーが生産され、この無人イェーガーの開発、世界中への配備が完了すれば、パイロットは不要となり、世界中どこにいてもイェーガーでの戦闘が可能になるという画期的な戦力となる予定でしたが、そこはお約束の無人機暴走。機械であるイェーガーに怪獣の生物らしさが合わさり、ことさらエヴァシリーズの使徒のような形態で戦闘を繰り広げます。ガンダムにせよ、マクロスにせよ、パイロットを必要とする巨大戦闘機はすぐに無人化の話が起こりがちですが、大抵はこの暴走パターンで上手くいかない。ある意味ロボット物のお家芸とも言えます。
4.キャラクターの描き方
前作と比べて語る上ではずせないのが、キャラクターの描き方。本作では訓練生が最終的に世界を守る戦いに臨むわけですが、そこに至る流れがあまりに淡白。とてもかわいらしいアマーラにしても、菊地凛子演じる森マコに続き二人目の日本人キャスト、新田真剣佑演じるリョウイチにしても、ドリフトへの葛藤や訓練中の様子、絆を深めていくようなシーンもこれといってない。そんな状態で最終決戦を前にいきなり乗せられるイェーガーを上手く操ることはできたものの、それが凄いのかどうなのかも分からないような状態なのは否めない。これでは上手く感情移入もといキャラクターにドリフトできないのである。したがって、この戦闘で命を落とすものがいてもキャラクターの名前すら頭に入っていないような状態では悲しめないのもある種仕方ないのかも。ここは残念なポイントだったと思います。
足早に書いてきましたが、思いつくところはこんなところでしょうか。マイナスというか、微妙に感じてしまった点を列挙するような形になってしまいましたが、「面白い」「面白くない」で言うのなら十二分に「面白かった」。ただ、前作のように「絶対に映画館で!!!」というわけではなく、それこそ”おうちシアター”でも十分なのも否めない。このあたりはやはり残念だったと言わざるを得ないでしょう。兎にも角にもこのパシリムシリーズにあった"デル・トロイズム"をリスペクトこそすれど、踏襲はしない、そんな感想を抱く作品だったと思います。
kenken726は…
(好きこそものの上手なれ。)