【KINGSMANレビュー】Nurture and good manners maketh man.「教育と行儀作法が人を作る」転じて「氏より育ち」 

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どんな話?

キック・アス」のマシュー・ボーン監督&マーク・ミラー原作によるスパイアクション。表向きは高級スーツ店だが実は世界最強のスパイ組織「キングスマン」で活躍する主人公ハリー・ハートをファースが演じ、ハリーに教えをこう若きスパイのエグジーに、新星タロン・エガートンが扮する。その他、マイケル・ケインマーク・ストロングサミュエル・L・ジャクソンらが共演。ブリティッシュスーツを華麗に着こなし、スパイ組織「キングスマン」の一員として活動しているハリー。ある日、組織の一員が何者かに殺されてしまい、その代わりに新人をスカウトすることになる。ハリーは、かつて命を助けてもらった恩人の息子で、密かにその成長を見守っていたエグジーをキングスマン候補生に抜擢する。一方その頃、頻発する科学者の失踪事件の首謀者ヴァレンタインが、前代未聞の人類抹殺計画を企てていた。

http://eiga.com/movie/81623/より

 スパイ映画ということで007シリーズやMIシリーズを思い浮かべる方が大半だとは思いますが、正直全然違う。そもそもの方向性から違うというか、アクションこそ本物ですが、ストーリー自体はすごくポップ。人も大勢死にますし、残虐なシーンも少なくない、でも総じて一言で言うならポップなんです。不思議。全編にわたって英国スーツに身を包みながら敵を次々倒していく姿は非日常そのもの。どこで切り取っても良い画になるのかな、なんて。

 

 

圧巻のアクションシーン

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まずはこちらを。


映画『キングスマン』予告編 - YouTube

こちらのシーンはコリン・ファース演じるハリーがタロン・エガートン演じるエグジーをスカウトする為に訪れたバーでのものです。素早い動きが多いものの、誰がどのタイミングでどうやって倒されているのかが明確になっていて、とてもわかりやすい!アクションシーンにそういう”解説”みたいなものは不要かもしれませんが、見ていて”しっかり倒している感”が強まるような印象でした。英国紳士が普段から身につけている傘や指輪が武器になっているのも男心をくすぐります。

コリン・ファースは55歳にも関わらず圧巻のアクションを披露していますが、意外にもアクションものは初めてとのこと。いい男は何やってもできちゃうからずるい。)

 

そしてこのセリフ。

Manners makes man.

マナーが紳士を作る

ハリーがゴロツキたちに向かって言うセリフですが、調べた所、タイトルにも出した「Nurture and good manners maketh man.(氏より育ち)」が基となっているようです。そういいながらいとも容易くゴロツキたちをのしてしまうハリーはやっぱりかっこいい。この「氏より育ち」ですがコトバンクによれば「家柄や身分よりも、育った環境や躾のほうが人間の形成に強い影響を与えるということ。」とのこと。つまりハリーはゴロツキたちを躾した、といったところでしょうか。また、ハリーはエグジーに対してもしきりに「生まれで人間の価値は決まらない」であったり「学ぶ意欲さえあれば人は変わることができる」のような言葉を掛けていたことから、最初のアクションでもエグジーに対しても「氏より育ち」だと伝えたかったのかも知れません。(そうはいうもののハリーは名家の出身設定。でも人を身分で判断せず、対等にチャンスを与えようとします。)

 

ここが見どころ

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ネタバレになってしまいますが、サム・L・ジャクソン演じる悪役ヴァレンタインは人口削減を行うためにある計画を企みます。それは人の攻撃本能を覚醒させ、抑制本能を抑えるというもの、しかも音楽(正確には電波のようなもの)で。そして多額の寄付者や各国の首脳などをはじめとする原理主義者たちの首元にはその音楽の効果をなくすチップが埋め込まれます。これによってヴァレンタインに賛同する者は助かるというカラクリ。原理主義者とは「何らかの主義や命題を至上のものとすることにより、他のそれを排他、駆逐しようとする姿勢、価値観。(はてなキーワードより)」のこと。要するに自分達さえ助かるなら世界がどうなろうと関係ない、というように考えている人達ですね。ちょっと違うかも

 

彼らはヴァレンタインの所有するシェルターでVdayと呼ばれる人口削減計画実行日を今か今かと待ちわびていますが、そこにエグジーが登場し、マーク・ストロング演じるマーリンと共に計画の阻止に向かいます。道中で大勢の敵に囲まれてしまい、絶体絶命となってしまったエグジーがチップの起動をマーリンに頼みます。(チップには例の音楽の効果を抑制する効果とその人物がヴァレンタインを裏切った場合に作動する爆破機能が搭載されています。ここでいう起動とは後者のことを指します。)チップの構造を既に解析していたため、マーリンはチップの起動に成功し、敵の兵士はもちろん、パーティ中だった原理主義者たちも次々と爆発していきます。威風堂々の音楽にのせて。笑

 


エルガー作曲 行進曲「威風堂々」第一番 - YouTube

 

 

よくわからないと思いますが、言葉の通りなんですよ。威風堂々に乗せて次々と人が爆発していく。しかも花火のようにカラフルに。こればっかりは見てもらうしかないんですが、爽快です。というより笑いが止まりませんでした。当日はレイトショーで見ていたので笑っていても問題ないような雰囲気だったのもありますが。そのワンカットが上のカラフルな写真。人が爆発する演出は多くの映画で使い古されたものだと思いますが、カラフルかつ威風堂々と一緒に爆発させた監督は他にいないでしょう。おもしろいなあ、マシュー・ボーン

 

 

 

 

 

全体の感想

※青字はちょっとマイナスだったポイント。

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なんといってもハリーに見出されたエグジーが外見も内面も文字通り紳士になっていく様子が見ていて楽しかった。訓練によって磨かれた才能もオーダメイドの防弾スーツも全ては紳士になる為のもの。でもそれらは上辺のものでしかないとも言え、ハリーも「本当の意味での紳士とは自分に絶対的な自信を持つ人間の事」と作中でエグジーに諭す場面がありました。また、かつてキングスマンの一員として活動していたエグジーの父への想いもあり、ハリーとエグジーがどこか親子のように見えたのも良かった。007シリーズやMIシリーズのように小難しい設定は少なく、誰が見ても明らかな善悪の描き方がされているのも好感が持てました。誰が見てもというところで言うならあるキャラクターが毒で死ぬシーンでも傷から毒が回っていく様子が肌の色の変化で表されていて、子供でも「危ない」ということが直感的に分かるいい表現だなって思うものもありました。(大人には不必要かも知れませんが、広い年齢層の方々が楽しめるという意味では◎かなと)また、ラストシーンではお約束のお色気シーンがありますが、こちらも程よい感じで良い。中学生くらいが見ると喜ぶくらいのエロさ。(男性諸君はわかりますよね?笑)ただ、少し気になった点をいくつか。まず、キングスマンに入るための試験(訓練)が緩すぎるというところ。ジェームズ・ボンドやイーサン・ハントのように拷問関係に耐えるようなものはなかった(少なくとも描かれてはいなかった)ですし、試験の内容は伏せますが、おおよそあの試験を突破したからといって世界で活躍するようなスパイになるのは難しいのではないかと少しですが感じました。突破するのは勿論大変そうでしたが。あとはエグジーの才能を感じるシーンが少なかったこと。冒頭のカーチェイスでは圧巻のドライビングテクニックを披露していましたし、街のゴロツキから逃げる際には塀や街灯を駆使して逃げるシーンもありますが、少し物足りない。どこか「自分でもできるんじゃないか」と感じてしまったのは、こういう類の映画では少し残念だったかなと思います。やっぱヒーローものとかアクションものは圧倒的に自分と違う姿を観たいなあ、なんて。

そうはいうものの、全体的なバランスがとても良い映画だったと思います。視聴者側を飽きさせないというか、飽きそうなタイミングで見せ場を持ってきているような印象でした。(アクションとか)大きい見せ場があることも重要ですが、小さい見せ場が適切なタイミングで幾つも出てくるほうが飽きずに見ていられるように感じました。細かいネタも散りばめられていて、ストーリー的には1回観れば十分なんですが、また見返したくなるような気持ちにさせるのはさすが、といったところ。(靴のつま先から隠しナイフを出す動作はかっこいいのにしまうのは普通に壁だったり、大勢の人を殺していながら自身は血を見ると吐いてしまう悪役とか「大脱走」は観てないのに「マイフェアレディ」は観てたりとか。)

映画館で観てもらいたいのは勿論ですが、家でビールとか飲みながらわいわい観るのもかなりオススメの1本です。

 

 

 

 

 

kenken726は…

(これは家で観る用に買います。)

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